お盆は夏にご先祖様の霊が帰って来られる時に皆で迎え入れ、
おもてなしをしてまた皆でお見送りをする一連の行事です。
そのときには、迎え火や送り火を焚いたり、
盆棚を作ってお供え物をしてご先祖様のおもてなしをします。
お供え物としてきゅうりの馬となすの牛を飾ることがありますが、
なんともユーモラスでかわいいですよね。
なぜ、きゅうりの馬となすの牛を飾るのでしょうか?
そしてなぜ、きゅうりが馬で、なすが牛なのでしょうか?
お盆にきゅうりとなすで作る馬と牛の意味は?
お盆にあの世とこの世を行き交いするときの乗り物として馬と牛が使われます。
①馬は足が早いので、馬に乗って早く我が家に帰って来られるように、
そして帰りはゆっくりと景色を眺めながら帰ってもらえるように
歩みのゆったりとした牛に乗って帰ってくださいという意味で
きゅうりを馬になすを牛に見立てているのです。
②またその反対に来る時は丁寧におもてなしをしたいので、
なすの牛の乗ってゆっくり来てもらい、
帰りはきゅうりの馬に乗って早く帰ってもらうという地方もあります。
③地方によっては行きも帰りもきゅうりの馬にのって、
なすの牛にはお供え物をのせて運ぶとされているところもあります。
地方の風習でいろいろなパターンがあるんですね。
一般的には①が広く知れ渡っています。
このきゅうりの馬となすの牛は精霊馬(しょうりょううま)と呼ばれますが、
※地方によってはなすの牛と区別して精霊牛と呼ぶとことろもあります。
なぜ馬にきゅうりを牛になすを使うのかはっきりしたことはわかっていません。
夏の一番出盛りの野菜なので美味しくて、
全国的にも手に入りやすいものだったからというのが一般的な見方です。
旬の美味しい野菜で作ってお供えし、おもてなしするという気持ちが込められているのかもしれませんね。
またきゅうりやなすはその形から馬や牛を連想しやすいということもあったのかもしれません。
お盆に作るきゅうりとなすの馬と牛その作り方
足:おがら(麻茎)or 割り箸
しっぽ:とうもろこしのひげ
きゅうりやなすはまっすぐな整ったものより、ちょっと形がいびつだったり、曲がったもののほうが、
雰囲気があってユーモラスな馬や牛になります。
特に作り方といってもイラストを見てもらえればわかる通り、
きゅうりやなすにおがらや割り箸を適当な長さにカットして、
安定するようにバランスよく4カ所に刺して出来上がりです。
とうもろこしのヒゲがあればしっぽの部分に包丁で切れ込みを入れて差し込んでもいいでしょう。
最近は変わり種のきゅうりの馬やなすの牛がインターネットにアップされて話題になったりしてますね。
お盆の供え物としての領域を超えた工作品のようなものを見る事もあります(^_^;)
お盆の意味を知ってご先祖様を敬う気持ちがあれば、
奇抜な乗り物(?)でもご先祖様は喜んでくださるのではと思います。
送り盆の時(主に北海道〜中部地域 16日)に作って飾る地方と
迎え盆(主に関東地域 13日)のときに作って飾る地方と
それぞれの地方で少しずつ違います。
お盆にきゅうりとなすで作る馬と牛の飾り方
行きと帰りを示すことから、牛と馬は逆方向を向かせて飾ります。
御仏壇の前に飾るならきゅうりの馬は頭を御仏壇のほうへ向けて、
なすの牛はその逆にして飾ります。
外に飾るときはきゅうりの馬は頭を玄関のほうへ、なすの牛はその逆の向きに飾ります。
この精霊馬(しょうりょううま)は送り火でご先祖様をお送りした後は、
昔は川や海に流していましたが、現代では環境問題などから川や海に流す事はせずに
白い紙(半紙など)に包み塩で清めてから行政のやり方に沿って処分するのがいいでしょう。
果物や落雁などのお供えは後から頂いたりしますが、
きゅうりの馬となすの牛はご先祖様が行き交うときの乗り物ですので、
食することはありません。
まとめ
ご先祖様が気持ちよくあの世とこの世を行き交えるように
心をこめてきゅうりの馬となすの牛を作ってみましょう。
感謝の気持ちを込めて作ればご先祖様も喜んでくださることでしょう。